People
JCAジャーナル2024年5月号に、細川慈子氏(大江橋法律事務所・パートナー弁護士)との共著「国際仲裁における損害算定専門家の役割」が掲載されました。冒頭部分をご紹介します。
国際仲裁で扱われる紛争では、技術的・法的に様々な複雑な問題を伴うことが多い。一般的に国際仲裁では事案に合わせて適切な仲裁人を選任できるメリットがあるが、仲裁廷はあらゆる論点に精通しているわけではなく、一定の分野の専門家の知見が仲裁廷の判断のために有益な材料となる。そのため、国際仲裁では、特定の技術・産業分野の専門家、一定の分析を行う専門家(損害算定、建設工事の遅延・中断の原因の分析等)、法分野の専門家といった様々な分野の専門家が専門家証人という形でしばしば関与する。
本稿ではその中でも損害算定分野の専門家(以下「損害算定専門家」という。damage expert、quantum expert等と呼ばれる)がいかなる役割を果たすかについて紹介する。まず本稿の前半では、専門家が国際仲裁にどのように関与するかを紹介し、本稿の後半では、損害算定専門家がどのように損害を算定するかを医薬品産業の紛争に関するケーススタディを用いて解説する。