ディスラプションのパラドックスに立ち向かう

本調査において、ビジネスリーダーは、競争、テクノロジー、AI、規制がCOVID-19よりも重大な課題であると回答しており、こうした破壊的な圧力に耐える自社の能力について、高い自信を持っていると回答した経営者は半数以下であった。

COVID-19は全世界に共通の影響をもたらしているが、一方で、世界中の経営幹部は、COVID-19のパンデミックよりも影響が大きいと考えられるディスラプション、つまり混乱や断絶の存在を数多く挙げている。2021年アリックスパートナーズのディスラプション・インデックスは、世界中のCEOやディレクターレベル以上のエグゼクティブといった経営幹部を対象に、ビジネスに再構成を強いる破壊的圧力に対する彼らの考え方を調査した。経営幹部たちは、新たに進化を遂げた競争やテクノロジーに影響を受けたプロセス、そして規制が、COVID-19よりも破壊的な影響を与えると答えている。

本レポートは、経営幹部たちが、パンデミック後の世界を見据えて、新たなディスラプションの波に備えて計画を立てていることを示している。リモートワーキングに関する方針から大局的なビジネス戦略に至るまで、経営幹部たちはこうした分野における恒久的な変化に備えている。

驚くべきことに、COVID-19 は多くのビジネスにとって、最優先の課題ではなかった

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私たちは、ディスラプションを、経済、社会、環境、政治、規制、技術、それぞれの点での変化の結果として、ビジネス、市場、およびバリューネットワークが新たなものに置き換わることと定義する。特に、技術革新は、他の破壊的な圧力を加速させる触媒としての役割を果たす。

ディスラプション下におけるリーダーシップ

世界中の経営幹部の85%が、ディスラプションは企業や社会が直面している主要な戦略的課題であると回答しているが、それに耐える能力に高い自信を持っている割合は37%に止まった。経営陣(C-suite)の51%は、自社の業界が直面しているディスラプションが原因で自身が職を失うことを心配している。このような厳しい状況ではあるものの、4割の経営幹部は、1年前と比較すると自組織の状況は良くなっていると考えている。

成功する経営者は、ディスラプションをビジネスチャンスとして捉えられる人たちであるとするならば、この考え方を組織全体に浸透させることがリーダーシップの重要なタスクとなる。世界中の経営幹部の52%が、人材のギャップが、自組織のディスラプションに対する脆弱性の理由であると考えており、この割合はC-suiteでは59%となる。53%の経営幹部は、ディスラプションに直面している状況下では、新しいテクノロジーへの投資よりも、人材ギャップを埋めることが、緊急度が高い最優先の戦略であると答えている。

本調査におけるその他の示唆

  • 自社のビジネスや従業員、自身の雇用などに対する、ディスラプションの影響について、日常から考えている経営幹部は、1年前よりも自社が良くなっていると答えている。今回の調査では、世界中の経営幹部の39%が、1年前に比べて現在の方が良くなっていると回答している。「良い」と答えた経営幹部の約40%がディスラプションを機会と捉えている一方で、「悪い」と回答した経営幹部はほぼ同じ割合がディスラプションを脅威と捉えている。
  • 世界中の経営幹部の65%が、自社は2つ以上の破壊的な圧力に晒されており、破壊的な圧力に対応するため、平均して3~4つのアクションを取っていると回答している。取られているアクションのうち、最も多いのは、新しいテクノロジーへの投資で、世界中の経営幹部の53%がこれを行っていると回答している。
  • 中国企業の経営幹部の50%および米国企業の経営幹部の48%は、破壊的な圧力に対する自組織の能力に自信を持っており、これはグローバルで最も高くなっている(グローバル平均は37%)。一方でイタリア(31%)と日本(24%)では、この自信があるという回答が少なかった。またイギリスと日本では、3分の1近く(31%)の経営幹部が、破壊的な状況をチャンスではなく脅威と考えていると回答した(グローバル平均23%)。
  • 世界中の経営幹部の37%は、破壊的圧力に対抗する能力に高い自信を持っている。激動の一年であったが、航空宇宙・防衛産業の経営者は、破壊的な圧力に耐える能力に最も自信を持っており(45%がとても自信がある)、一方、自動車産業の経営者は最も自信がない(同29%。

本レポートについて

2021年 アリックスパートナーズ ディスラプション・インデックスは、ビジネスに再構成を強いる破壊的圧力に対するビジネスリーダーの意識を調査したものである。本調査では、2020年11月16日から2021年1月4日にかけて、米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、中国、日本の3,149人の経営幹部に対してインタビューを実施した。対象となる経営幹部は、航空宇宙・防衛、自動車、消費財、金融サービス、メディア・エンターテインメント、小売、テクノロジー、通信・ケーブルの各業界にわたっている。調査対象者は全員、年齢25歳から65歳、ディレクタークラス以上で、売上高5,000万ドル以上の企業に所属している。

詳しくはレポート(フルバージョン)をご覧ください。